新社会人研修では「上司への報・連・相が大事!徹底しろ!」などと言わますが、これには「そもそも上司サイドが報・連・相を聞く耳持ってないだろうが馬鹿野郎!!」という結び言葉が存在します。今日は、その報・連・相について漫画にしてみました。
なお1コマ目で出てくる新入社員研修コンサルタントのババァは「マナー研修ってさ、総務の自己満足以外の効果ってあんの」の講師です。
報・連・相とは1982年に山種証券社長(現SMBCフレンド証券)だった山崎富治氏が風呂につかっている時に閃き、社内に「ほうれんそう運動」として広めたのが始まりだそうです。この運動は世間から注目を浴び、政治家の中曽根康弘さんまでも派閥内で「ほうれんそうキャンペーン」を行うなど世間一般にも広がっていったようです。
報・連・相というと部下が上司に対して行うものと理解されている風潮がありますが、山崎さんの著書、ほうれんそうが会社を強くする―報告・連絡・相談の経営学を読むとそうではなさそうです。まえがきには
下からの意見をどう吸いあげるか、みんなが働きやすい環境をどう作るか、暖かい人間関係をどう作るか、少数精鋭で社員一人ひとりに厚く報いるには…と、つね日ごろ頭を悩ませていたとき思いついたのが、"ほうれんそう"だった。
とあり、風通しの良い会社を作る手段として"ほうれんそう"という標語を掲げたのであって、"ほうれんそう"を徹底させるのが目的ではなかったのです。普段、ほうれんそうが大事と豪語している経営者どもは、上記のように会社や従業員のことに頭を悩ませているんでしょうかね?ほうれんそうと叫んでいるだけで自己満足していませんか?
この本をいくら読み解いても、報告、連絡、相談の細かな定義は出てきません。あくまで風通しの良い会社の必要条件は報告、連絡、相談の徹底である、と書かれています。また新入社員は"ほうれんそう"がなっとらん!的な記述も無く、"ほうれんそう"が育つ会社の条件として下記のように言及されております。
私は、会社の"ほうれんそう"が立派に育っているかどうかの一つの目安はイヤな情報、喜ばしくないデータなどが何の粉飾もされずに正しく上に伝えられることだと思っている。
~中略~
上の人間が聞いて不快になりそうな情報は、なるべく伝えないようにしようという土壌がいつのまにかできているとしたら、この土壌には"ほうれんそう"は育たない。
そして山崎氏曰く、若い人からの率直な意見は吸い上げ、問題点があるならば改善するなど積極的な反応が大事だといっています。そればかりか、ほうれんそうを腐らせているのは管理職であるとも遠回しに言及しておられます。
××担当とか何とかいっても、自分の担当範囲をなるべく狭く考えて、責任逃ればかり考える。部下に対してだけ大きい態度をとって、すこしも抜本的な解決策を考えない。そんな重役はいらない。
営業部の末端意見が聞こえない原因が、その部長にあるとわかったら、ためらわず替えてみる。その結果"ほうれんそう"がよくなって、スタッフの声が聞こえてくるようになったら、これは大成功である。
以上のように山崎氏は、会社組織に"ほうれんそう"が育つ土壌を作りあげ、社内のタテ・ヨコのコミュニケーションを密にし会社を強くするという目的に対する手段として、"ほうれんそう"を提唱されました。現在、ビジネスで使用されている"ほうれんそう"の意味とは少し違うんじゃないかな?と思わずにはいられません。
※上記著書は絶版で中古本しかありませんね。今でも十分通用する本なのに勿体ないです。
ほうれんそうが会社を強くする―報告・連絡・相談の経営学