月別アーカイブ: 2013年10月

中堅社員の意見が捻り潰される過程

パワーハラスメントが続く会社はおそらく風通しが悪いはずです。私のいた会社でも漫画の通り、上に意見が通らない素晴らしいシステムになっていました。
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金融関係の新しい手法や戦略はアメリカが起点となることが多く、社内でも情報を入手し「この手法は使えるなぁ」などと検討していました。タスクチームが結成された当時はこれら新しい投資戦略を、どのように社内で導入するか議論されていたようです。新たな投資戦略の導入に当たっては社内規定などを根本から見直す必要もありタスクチームのまとめた報告書はかなり踏み込んだものになっていました。

そのタスクチームが作成した報告書は直接社長の元には行かず、一旦役員達だけで討議される場に提出されます。しかし保守的な役員達にとって新手法を導入する意欲は無く、リスクばかりを指摘しその旨を社長に報告することでタスクチームの提案書を毎年没にしていました。中堅社員の案を叩くことで「中堅社員の考えることは危なっかしい。今の役員がいなければ会社は立ち行かない!」と自分達の存在感を社長へアピールする絶好の機会にもなっていたようです。

本当に若手中堅社員の意見を聞きたいと思われる経営者ならばバイアスなどかけず直接若手中堅社員と意見を交わしたほうがいいと思うのです。

稟議制度って起案者に責任があると思ってたよ

責任を押し付けることって広義のパワハラのようですね。以前いた会社では、そんな人ばかりなので気付きもしませんでした。
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戦略マネジメント入門(著者:小泉修平)によると稟議制度は以下のように書いてあります。

「稟議制」は、組織の末端の担当者(または下位の管理職)が起案し、関連部署を含めた上位者に稟議書を順次回覧し、最後に経営トップが最終決裁するという法式である。この場合、稟議書が途中で却下されると経営トップにまで回らないため、通常、上級管理者に対する「根回し」が行われる。「集団決定主義」という典型的な日本的経営の発露であるが、その背後には「全員が賛成したことは正しい」という「和」の理念がある。

稟議制の問題点
①責任分散
通常、稟議書は多くの人に回されるが、これは責任の分断に他ならない。また、間違ったことでも「赤信号、皆で渡れば怖くない」という意識となりやすい。
②非効率な意思決定
文書を多くの人に回していって決裁をとるこのやり方は、非効率この上ない意思決定方式であるともいえる。
③リーダーシップ欠如
稟議制においては、トップのリーダーシップ能力は磨かれない

どうも自分が経験していた稟議制度とは違うようです。よく「仕事は組織でするもんだ!」と前の会社の人が言っていましたが、合議した案件でも「責任は個人がとるもんだ!」という空気がありました。そんな空気が支配する会社だったため皆、消極的、保守的になってしまい新しいことが出来ない土壌を作っていたのが懐かしいです。